目次
この記事のポイント
- 守られないルールは、あいまい・一方的・守れた日が見えないの3つがそろっていることが多い
- 「使いすぎない」ではなく「夜10時に充電台に置く」のように、行動で書く
- 守れなかった日より、守れた日に気づいて声をかけるほうが、ルールは続く
スマホのルールが守られなくなるのは、子どもの意志が弱いからではなく、ルールそのものが「あいまい」「親が一方的に決めた」「守っても何も起きない」形になっていることが多いからです。行動で書き直し、子どもに案を出してもらい、守れた日に目を向けると、同じ子どもでもルールは続きやすくなります。
スマホを持たせるときに、家族で約束を決めた。最初の数週間は守られていたのに、いつの間にか夜遅くまで触るようになり、注意すると「みんなそうしてる」と返ってくる。決め直しても、また同じことの繰り返しになる。そんな流れに心当たりのあるご家庭は多いと思います。
この記事では、守られないルールに共通する特徴、いまのルールを確かめる点検表、あいまいなルールを行動に書き換える例、親子の案を並べて決める記入用テンプレート、決め方の手順を用意しました。
1.守られないルールに共通する3つの特徴
ルールが続かない場合を見ていくと、ルールの中身や子どもの性格よりも、ルールの「形」に共通点があります。
1つ目は、あいまいであることです。「使いすぎない」「勉強を優先する」は、親と子で思い浮かべる中身が違います。親は「もう使いすぎ」と感じ、子どもは「まだ大丈夫」と感じる。そのずれが、毎晩の言い合いになります。
2つ目は、一方的であることです。親が決めて渡したルールは、子どもにとって「守らされるもの」になります。自分で言葉にしていない約束は、守る理由も自分の中にありません。
3つ目は、守れた日が見えないことです。守れなかった日には注意されるのに、守れた日には何も起きない。そうなると子どもにとってルールは、叱られるきっかけでしかなくなります。
ルールが続くかどうかは、中身の厳しさより、この3つの形で決まります。逆に言えば、形を直すだけで、同じ中身のルールでも続きやすくなります。
2.いまのルールを点検する表
まずは、いまのご家庭のルールを1つずつ次の表に当てはめてください。「いいえ」が多いルールから順に書き直すと、手をつけやすくなります。
| 点検すること | はい/いいえ | メモ |
|---|---|---|
| 時刻や場所など、誰が見ても同じように判断できる言葉で書いてある | ||
| 子どもが自分の言葉で案を出している | ||
| 守れなかったときにどうするかが、先に決まっている | ||
| 守れた日に、親が気づいて声をかけている | ||
| 親も守る約束が、一緒に書いてある | ||
| 見直す日が決まっている |
点検するのは、子どもが守れているかどうかではありません。ルールが守りやすい形になっているかどうかです。ここで「いいえ」がついても、親のやり方が間違っていたという意味ではありません。
3.あいまいなルールを「行動」に書き換える
あいまいなルールは、時刻・場所・回数など、親子で同じように判断できる言葉に書き換えます。次の書き換えは、よく見かけるルールの例です。
01
よくある言い方スマホを使いすぎない。
言い換えると平日は夜10時に、リビングの充電台に置く。
ポイント「使いすぎ」の判断を、時刻と場所の事実に置き換える
02
よくある言い方勉強を優先する。
言い換えると宿題が終わったことを親に見せてから、その日のスマホを使う。
ポイント優先順位ではなく、順番として決める
03
よくある言い方課金はしない。
言い換えるとお金を使うときは、使う前に親に相談する。
ポイント禁止だけにせず、困ったときに話せる道を残す
書き換えるときは、「〜しない」より「〜する」で書くのがコツです。「しない」は守れたかどうかが見えにくく、「する」は守れた瞬間がはっきりします。守れた瞬間が見えると、次につながります。
4.守れた日に気づいて声をかける
ルールを続けるうえで大切なのは、守れなかった日に叱ることよりも、守れた日に親が気づいて声をかけることです。
声かけは大げさでなくて構いません。「10時に置いてくれてたね、ありがとう」と、見たままの事実を伝えるだけで十分です。ほめ言葉を探すより、気づいたことを伝えるほうが、子どもには自然に届きます。
守れなかった日は、その場で長く叱らず、「明日は10時に置こうね」と次の行動だけを短く伝えます。守れなかった理由を聞くのは、落ち着いている週末などに回します。
5.親子の案を並べて決めるテンプレート
ルールを一方的にしないためには、子どもの案と親の案を並べて書き、その間を取って決める方法が使いやすいです。下の表を印刷するか、コピーして家族のメモアプリに貼ってください。
| 決めること | 子どもの案 | 親の案 | 決めた約束 |
|---|---|---|---|
| 平日に使う時間帯 | |||
| 寝る前に置く場所 | |||
| お金を使うとき | |||
| SNSに載せないもの | |||
| 困ったことがあったとき | |||
| 親も守ること | |||
| 見直す日 |
以下は架空の記入例です。中学1年生の子どもと保護者が話し合った場合を想定しています。
| 決めること | 子どもの案 | 親の案 | 決めた約束 |
|---|---|---|---|
| 平日に使う時間帯 | 夜11時まで | 夜9時まで | 宿題のあと、夜10時まで |
| 寝る前に置く場所 | 自分の部屋 | リビング | 夜10時にリビングの充電台へ |
| お金を使うとき | 自分のお小遣いなら自由 | 使わない | 使う前に親に相談する |
| SNSに載せないもの | 顔が写った写真 | 学校名・家の場所 | 顔・学校名・家の場所は載せない |
| 困ったことがあったとき | 友だちに相談する | すぐ親に言う | 親に話しても、すぐに取り上げない |
| 親も守ること | 食事中はスマホを見ない | 食事中はスマホを見ない | 食事中は家族全員スマホを置く |
| 見直す日 | 夏休み前 | 1か月後 | 1か月後の日曜日 |
記入例の「困ったことがあったとき」の欄に注目してください。親が「すぐ親に言う」と求めるだけでは、子どもは「話したら取り上げられる」と考えて黙ってしまいます。話しても取り上げないと親の側が約束すると、子どもは困ったときに相談しやすくなります。取り上げについて詳しくは、スマホやゲームの取り上げは逆効果? 裏目に出やすい条件と、取り上げる前に家庭で決めておきたいことで扱っています。
6.例外の扱いを先に決めておく
テスト前、長期休み、友だちと約束しているオンラインの対戦など、ルールどおりにいかない日は、どの家庭にもあります。例外のたびに親がその場で判断すると、子どもからは「親の機嫌で変わる」ように見え、ルールが崩れるきっかけになります。
例外は、あらかじめ「どんな日に」「どこまで」を決めておきます。たとえば「週末は夜11時まで」「友だちと約束した対戦は、事前に伝えれば30分延長できる」のように、例外そのものを約束の中に書いておくと、例外が「なし崩し」ではなく「約束どおり」になります。
7.ルールを決める4つの手順
最後に、初めてルールを決めるとき、または決め直すときの進め方です。
ルールを決める進め方
- 子どもの案から聞く
テンプレートの「子どもの案」の欄を、先に子どもに埋めてもらいます。親の案は、そのあとに出します。
- 違いを並べる
子どもの案と親の案が違う欄を確かめます。違うのは自然なことなので、どちらが正しいかは決めません。
- 間を取って決める
理由を聞き合いながら、「決めた約束」の欄を一緒に埋めます。親の心配は、責める言葉ではなく「心配」として伝えます。
- 試す期間を決める
まずは2週間など、試す期間を決めて始めます。うまくいかなかったら、見直す日に直せば大丈夫です。
スマホのルールが守られないと、親は「もっと厳しくすべきか」と考えがちです。けれど、続くかどうかを決めるのは厳しさではなく、行動で書かれているか、子どもの言葉が入っているか、守れた日が見えているかという、ルールの形のほうです。形は、今週末の話し合いからでも変えられます。
8.よくある質問
契約書や誓約書のような形にしたほうがいいですか?
「友だちはみんな自由に使っている」と言われます。
1日何時間までにするのがよいですか?
決めたルールを何度も破ります。
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